新型のウィルスによりて籠ること善しとされたる日を重ねゆく
日々に子の学びをたゆまず導ひてゆくこと難しいかにかはせむ
二人子の宿題見終えてまひるまに洗濯物を干す日もありぬ
『石上私淑言』読む耳の底我が肩の辺に師の声を聞く
なつかしきにほひのするといはれけりいとほしき君が心の奥処(おくか)
朝日照る明るき部屋の寝床にて啄木歌集を飽かず読みゆく
変はりなき子らの体温を測ること疎ましきなり庭に日はさす
幾度も庭に百舌鳥来ぬ篠竹のなかに雛(ひひな)をはぐくみたるや
たをやかなチェロの調べを身の内の奥深く聞き入りてしづもる
おのずから人をひたすらま愛(かな)しみあひ思はるる我れでありたし