こころねのうた

ほんねで歌いたい

2019-01-01から1年間の記事一覧

大聖堂

はるかなるパリの夕空 勢いよく火は大聖堂を燃やさむとする ノートルダムの大聖堂の高き塔が燃えさかり崩れ落ちてゆくなり 燃え落ちてゆく大聖堂を深々と悲しみて見るパリの人々 パリに住む人の悲しみ深からむ黙してひたに火を見つめゐる 常にあるものはなし…

雑歌

われ独り重荷を負ひてぬかるみをゆく心地して人を羨しむ 許すこと忘るることと思ひおよびパッヘルベルのカノン聞こゆる 元年のはじまりの雨は降りやみて朝(あした)の空は澄みてあをめる 窓をあけて土のにほひを吸ひこみぬ今朝真新し雉の足あと 広島に届け折…

うつしみの人

仕事より帰り来たりて洗ひ場に君が使ひし皿はしづもる 寝室に君は休みぬ今日もまたイヤホンつけて動画見てをり 昼過ぎてやうやく飯を食ひ終へてアル・パチーノを見たくなりたし 『セント・オブ・ウーマン』見たし二人子は『ライオンキング』を見たしと言ひけ…

日々のうた

しるしなく熱(いき)り立ち立つ火の山はわが胸の奥にたしかに聳ゆる 兆しなく怒りの声を突きつけてむす子の心を傷めつけにき 荒ぶれる声を響かせ眉根よせ怒りてむす子を統べらむとする 声をたてず涙を流して泣きてゐるむす子の心を踏みにじりたり まうこんな…