こころねのうた

ほんねで歌いたい

2023-01-01から1年間の記事一覧

白鷺

1人ゆく圏央道はもの悲しチェロとピアノを聴きて走らむ 高速を駆けゆく車の風いたく穂芒(ほすすき)せはしくゆれゆるるなり チェロが音(ね)は水の羽衣身にまとひ空へと舞ふよ心ゆくまで 君が弾くチェロの音色のいざなひにすすき野原をそぞろ歩かむ 難病の…

星のまつりのあとに

たちまちに死に至るものとは知らへずにハムスターを死なせてしまへり 三度目の夏を迎へて巣のなかのぷんちゃんは目を見ひらきて死ぬ たらちねの母もひそかに死にゆくか不意に浮かびて思ほゆる母 揺すぶりて子を起こしゆくやはらかな小さき命の終はりたる朝 …

小さき子ら

人麻呂に赤人黒人(くろひと)旅人(たびと)海人(あま)人とは何そ思ひめぐらす 子のための貯えを削り取らなくば支払ひ難し光熱費二倍 牛殺しにおのが頭をかち割られ潰され死ぬる明日を思へり 政(まつりごと)を憂しと悪(わる)しと思ほえど才ある人を待…

望月

ターナーの光のどけきタンバリンをもつ女の絵はあたたかく照る 麁玉(あらたま)の年の初めにイギリスの絵画の話を聴きにゆかなむ 春の歌口ずさみゆく帰り道の靴には翼がつきているらし 朝日さす山へ入りにし望月がゆふべの空に照りてのぼり来 帰り道の電車…