こころねのうた

ほんねで歌いたい

駱駝の性(らくだのさが)

四月より保育の仕事に就きにしが心は添はずなりにけるかも

小さき子の思ひにそひてやすらぎの保育はいかにと悩み始めり

目に見えて成りいづるものを見せたらむと逸(はや)る心の保育と思ほゆ

空(から)にして悩まずひたに仕事して馴れてゆかむと言ひきかす朝

なかつ子は学童はいやだと泣きだしぬわが心しづみ弁当をつつむ

学童の保育に二人子を預く今さらに夫(つま)が反(そむ)きだしたり

学童にウィルスありてうつりなばいかにかせむと夫が言ひ捨つ

我が思ひ君はたやすく踏みにじり出掛けに責められ悔し泣く朝

浅はかな男と我れは知らずして躓きの石を抱きたりしか

うらがなし駱駝は怒り荒(すさ)ぶとき報ひたるまで虐ぐるらし

日本の女は駱駝の性(さが)を持つと夫(つま)がたはぶれ言を思ひづ

帰り来てまづ謝りてくるわが夫に仕事を辞せばよしかとぞ問ふ

砂漠ゆく駱駝にならむ清姫の蛇にもならむ報ひたるまで