こころねのうた

ほんねで歌いたい

小さき子ら


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人麻呂に赤人黒人(くろひと)旅人(たびと)海人(あま)人とは何そ思ひめぐらす

 

子のための貯えを削り取らなくば支払ひ難し光熱費二倍

 

牛殺しにおのが頭をかち割られ潰され死ぬる明日を思へり

 

政(まつりごと)を憂しと悪(わる)しと思ほえど才ある人を待つが愚かさ

 

促進剤をうちて子を産むやうなりや弥生の半ばにさくら咲き初む

 

うれしげに桜の咲きたる話しをするニュースキャスターのこゑに冷めゆく

 

街に咲く染井吉野の花よりも山に咲きたる花や愛しき

 

眺め見る林の木末(こずゑ)に咲き初むる白き辛夷(こぶし)の花のしづけさ

 

撫子は今年もあまたに咲くらむか踏まれてもなほさみどりに萌ゆ

 

踏み切りをすぎゆく列車は快速の伊東ゆきなり鵜は磯に住む

 

五つなる男の子がわれの肩を抱き「今日からかのじょ」とあどけなく言ふ

 

言葉少なき子がくるくると笑まひつつまはりて和するありがとうの花

 

合唱の声にあはせてくるくるとまはりて君は花となりける

 

指先を真直ぐに伸ばして花を作り歌声明るし子らの手話見ゆ 

 

ひたむきにやさしき心をくれたりし小さき子らを愛しみ思ほゆ

 

踏まれ死ぬてんとう虫を捨てたれば「ママが迎へに来るよ」と言はるる

 

ふやし鬼やらうと誘はれ思ひきり駆けりてゆかむ皆つかまへむ

 

「瞑想」のピアノの音色のきらめきにセキセイインコが歌ひはじめり