こころねのうた

ほんねで歌いたい

雑歌

われ独り重荷を負ひてぬかるみをゆく心地して人を羨しむ

許すこと忘るることと思ひおよびパッヘルベルのカノン聞こゆる

元年のはじまりの雨は降りやみて朝(あした)の空は澄みてあをめる

窓をあけて土のにほひを吸ひこみぬ今朝真新し雉の足あと

広島に届け折り鶴二人子と椅子に並びて黙(もだ)し鶴折る

たたかひの史を学ばむ はらからの過ちは はらからが贖ふ

しろがねの針の雨ふる盂蘭盆の庭に濡れ咲く黄のをみなへし

紫蘇の葉を庭に摘み出てひぐらしの声聞こえくる夏の夕暮れ

洋なしの味はなつかし真裸に閨にまろびて甘き実を食す

ひらひらと羽のひとひら舞ひ落ちて秋の庭辺に鳩の声する

いかにせむ魔法をつかへますやうにサンタクロースに子はたのみけり