こころねのうた

ほんねで歌いたい

望月



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ターナーの光のどけきタンバリンをもつ女の絵はあたたかく照る

 

麁玉(あらたま)の年の初めにイギリスの絵画の話を聴きにゆかなむ

 

春の歌口ずさみゆく帰り道の靴には翼がつきているらし

 

朝日さす山へ入りにし望月がゆふべの空に照りてのぼり来

 

帰り道の電車の窓より金色(こんじき)に輝く月を見つくるうれしさ

 

金色に輝く望月いづくにか君も見つらむ帰りの道に

 

金に照るウルフムーンを今ごろはあなたもどこかで見ているだらうか

 

望月の金の光を筆につけ照りてかがやく絵を描かむよ

 

あふれだす光り明るくあたたかし君がみ胸のなかなるターナー

 

利根川の橋わたりゆく月明かりしろがね光る宇都宮線

 

美しき望月を見つつ帰りゆく新しき年の幸い深し

 

人はみな欠けたる私をもちていてよりよくあらむと生きてゆくらし