たちまちに死に至るものとは知らへずにハムスターを死なせてしまへり
三度目の夏を迎へて巣のなかのぷんちゃんは目を見ひらきて死ぬ
たらちねの母もひそかに死にゆくか
不意に浮かびて思ほゆる母
揺すぶりて子を起こしゆくやはらかな小さき命の終はりたる朝
ひたすらに子は泣きにけり下を向き涙を流して子は泣きにけり
死に近きものと気づけずにぷんちゃんを巣箱に返して我れはねむりぬ
頬に入れしチーズを貯めておかむとす筒を上りてゆく姿見ゆ
夜もすがら巣材を噛みて苦しむか息吹きに気づかず寝過ごせる我れ
ハムスターを初めてやしなふその日より小さき五本の指やいとしき
をみなへし桔梗撫子とりまぜて小さき墓に子と供へたり
明けの空へのぼりゆかむかハムスターは星のまつりのあとに死にたり
仮置きの餌を見やりてぷんちゃんの歯形のつきたるチーズ残れり
真新し餌は開かぬままに置く別れを知りせば食はせしものを